はじめに:越境ECの商品選びは「感覚」ではなく「データ」で決める
越境ECで最も重要なのは商品選びです。どれだけ美しいサイトを作っても、どれだけ広告費をかけても、そもそも需要のない商品を売っていては利益は出ません。
この章では、データに基づいた商品リサーチの具体的な手法を解説します。Google Trends、Amazon各国のBSR(ベストセラーランキング)、eBay Terapeak、Shopee Market Insightなど、無料〜低コストで使えるツールを活用して、「売れる商品」を論理的に特定する方法を学びます。
商品リサーチの3つのアプローチ
アプローチ①:既存の売れ筋を分析する(競合リサーチ)
最も確実な方法は、既に海外で日本商品を売っているセラーの売れ筋を分析することです。
具体的な手順:
- eBay/Amazon.comで「Japan」「Japanese」で検索し、売れている日本商品セラーを10社リストアップ
- 各セラーの出品一覧を「Best Match」「Sold Items」でソートし、実際に売れている商品を確認
- 売れ筋商品のカテゴリ、価格帯、利益率(仕入れ価格との差額)を計算
- 同じ商品を自社ECで販売する場合の利益率をシミュレーション(プラットフォーム手数料がないため利益率は高くなる)
使用ツール:
- eBay Terapeak:eBayセラーハブから無料で利用可能。過去90日間の販売データを確認できる
- Jungle Scout / Helium10:Amazon各国のBSR・推定販売数を確認。月額$30〜
- Keepa:Amazon価格推移・BSR推移を確認。月額€19〜
アプローチ②:検索需要から逆算する(キーワードリサーチ)
「人々が何を検索しているか」から、需要のある商品カテゴリを特定する方法です。
具体的な手順:
- Google Trendsで「Japanese + カテゴリ名」の検索トレンドを対象国別に確認
- Google Keyword Planner(無料)で月間検索ボリュームを確認
- Ahrefs / SEMrush(有料)で競合サイトのオーガニック流入キーワードを分析
- 検索ボリュームが月間1,000以上、かつ競合が弱い(DR50以下のサイトが上位にいる)キーワードを特定
実例:「Japanese kitchen knife」は米国でのGoogle月間検索ボリュームが40,000以上あり、アメリカ向け越境ECで最も人気のあるカテゴリの一つです。一方で「Japanese eraser」は検索ボリュームが500未満で、単品での自社EC展開は難しい(プラットフォーム販売なら可能)。
アプローチ③:SNSトレンドから発掘する
TikTok、Instagram、Pinterest、Redditで話題になっている日本商品を発掘する方法です。SNSでバズった商品は、検索需要が急増する前に先行して仕入れることができます。
具体的な手順:
- TikTokで「#japanesefinds」「#japanproducts」「#japanhaul」を検索し、100万再生以上の動画をリストアップ
- 動画内で紹介されている商品を特定
- その商品の日本での仕入れ価格と、海外での販売価格を比較
- トレンドの持続性をGoogle Trendsで確認(一時的なバズか、継続的な需要か)
商品選定の5つのチェックリスト
リサーチで候補商品が見つかったら、以下の5つの基準で最終判断します。
✅ 1. 利益率30%以上が見込めるか
自社ECでは、広告費を考慮すると最低でも粗利率30%が必要です。仕入れ原価、国際送料、決済手数料、包装資材を差し引いて30%残るかを計算してください。
✅ 2. 軽くて壊れにくいか
国際送料は重量に比例します。1kg以下で、かつ輸送中に壊れにくい商品が理想的です。陶磁器やガラス製品は需要がありますが、梱包コストと破損リスクを考慮する必要があります。
✅ 3. リピート需要があるか
自社ECの最大の武器は顧客リストです。消耗品(化粧品、食品、サプリ等)はリピート注文が期待でき、LTV(顧客生涯価値)が高くなります。一方、包丁や文具などの耐久財は単発購入になりやすいので、クロスセル(関連商品の提案)が重要です。
✅ 4. 法規制に引っかからないか
国によって輸入禁止・制限されている商品カテゴリがあります。事前に確認が必須です。特に以下は要注意:
- 食品・サプリメント:FDA(米国)、EFSA(EU)の規制に注意
- 化粧品:成分規制が国ごとに異なる。EU特有の禁止成分がある
- 電子機器:PSE、CE、FCC等の認証が必要な場合がある
- 医薬品・医療機器:基本的に越境ECでの販売は不可
✅ 5. 差別化ポイントがあるか
「日本から買える」だけでは差別化になりません。以下のような付加価値が必要です:
- ブランドストーリー(職人の技術、産地の歴史など)
- オリジナルのバンドル(セット販売)
- OEM/自社ブランド化
- 日本限定カラー/限定デザイン
- 使い方のチュートリアル動画
次の章で学ぶこと
この章では商品リサーチの方法を解説しました。次章「海外向け商品ページ・LP設計とコンバージョン最適化」では、見つけた商品を実際に海外の顧客に「買ってもらう」ための商品ページの作り方を解説します。
