貿易ビジネスコンサルティングの効果的な受け方

この記事では輸入や輸出などの貿易ビジネスコンサルティングを受講する上での効果的な方法をまとめています。

まず成果を出す上で重要になるのはPDCAサイクルを回すことです。順を追って解説していきます。

目次

PDCAサイクルとは

PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字を取ったもので、1950年代、品質管理の父といわれるW・エドワーズ・デミングが提唱したフレームワークで仮説・検証型プロセスを循環させ、マネジメントの品質を高めようという概念のことです。

物販ビジネスの中でも特にOEMやD2Cビジネスで役に立ちます。

OODAじゃなくていいの?

PDCAサイクルはもう古い、OODAループを回そう、という話を聞いたことがある方も多いと思います。

OODAループとは、アメリカの軍事戦略家であるジョン・ボイド氏が発明した、先の読めない状況で成果を出すための意思決定方法です。

OODAループは、PDCAサイクルと同じように4つのステップに分かれています。そのステップとは、「観察(Observe)」「仮説構築(Orient)」「意思決定(Decide)」「実行(Act)」の4つです。

PDCAサイクルとの最大の違いはPDCAはまず最初に計画(Plan)ありきでOODAの方は最初に観察(Observe)ありきということです。

しかしPDCAサイクルを回す上でPの計画の段階でも市場調査や競合調査などを織り込んでいればこの両者にはそれほどの違いはありません。はじめに自論ありきで始めてしまいがちなビジネス初心者にとってはOODAループを意識することが重要ですがOODAループは思ったより浸透しませんでした。

市場や競合、ビジネスモデルを観察した上でPDCAのPの部分を行いPDCAサイクルを回すという考えで取り組むのがおすすめです。

観察とは競合のまねをする、あるいは市場データがある場合は売れているものを参考にすることを指します。参入者で食い合い誰も得をしないような市場も存在するため利益が出ていそうな会社を参考にするのではなく利益が出ている会社を参考にする必要があります。皆ある程度売上は出ているけど利益が出ていない市場なども多数存在します、ビジネスを続けていく上で大切なのは利益を出すことです。

外から見た場合これは分かりづらいため初心者・中級者の人は特に見せかけの利益が出ている人が多そうな市場に参入してしまい失敗しがちなのでこの辺りはコンサルティングを受けるなどして専門家の意見を聞くようにしましょう。特にOEM・D2Cの場合未経験で自分のアイデアベースだけで進めるとお金だけでなく膨大な時間も失いかねないです。

PLAN(計画)について

まずは目標がないことには始まりません。人によって目標・ゴールは異なりますがここでは金銭的目標とその上で最終的に成し遂げたい人生の目標を設定して下さい。

最終的に成し遂げたい目標を設定するのは金銭目標だけだとフラストレーションを抱えやすく頓挫しやすいためです。

次に金銭的目標から逆算して必要な資金を計算します。

ここでは欧米輸入では営業利益率20%、中国輸入では営業利益率30%として計算します。すでに商品を仕入れている方はその平均値から計算して下さい。

最終的に達成したい目標が月利200万円だとすると欧米輸入の場合必要な売上は1000万円、中国輸入では667万円となります。

しかしこの利益率は役員報酬を含む人件費や事務所代などを除いた営業利益率となっています。

もし事業売却を目指すのであれば従業員の雇用はマストになるので人件費や地代家賃などがかかってきます。その辺りは人により異なるのでここでは一般的なモデルから考えます。

弊社では今まで数多くの物販事業の売却に携わってきましたが売却を目指すのであれば従業員が3名は必要です。

内訳としては売却後もディレクションを行う人、物販の現場担当、経理またはデザイナーという形が多く3名で人件費75万円/月が相場です。

また地代家賃や備品等で25万円/月は最低かかります。そのため粗利益ではなく営業利益として月200万円残したいのであれば役員報酬等の人件費を除く営業利益ベースでは月300万円稼ぐ必要があり必要な売上は欧米輸入の場合で1500万円、中国輸入の場合で700万円になります。欧米輸入も中国輸入も月利300万円程度であれば一人でも回せるのであくまで社長本人が作業やディレクションを行わなくていい形を想定しています。

ちなみに営業利益で200万円/月出ていれば相当優秀な方で仮に売却するであれば1億円近い値段が付きます。

また売却を考えず自分一人で外注パートナーをディレクションして事業を育てたいという場合は固定の人件費はかからないことになるので自らの目指す方向に合わせて計算して下さい。

このように目標設定をすることで目標を達成することが可能な期間も概算で出せるので次に期間を計算します。

一旦

  • 目標: 営業利益で200万円(粗利益で300万円)
  • 資金:300万円
  • 欧米輸入

と仮定します。

まずリスク分散やキャッシュフローの問題で資金は一度に使う訳には行かないので1/2~1/3に分けます。リスクを許容出来る場合は1/2ですがここでは念の為1/3で計算します。

資金300万円の場合は一度に使える資金は

300万円×1/3=100万円

となります。

ROI(投下資本利益率は)は欧米輸入の場合30%、中国輸入の場合43%が相場です。

これは1000円の商品を購入した場合の利益が欧米輸入の場合300円、中国輸入の場合430円であることを意味します。中国輸入の場合は上振れが大きくROIで100%行くような商品もあり、世の中にはそれを過剰に演出し中国輸入OEMは利益が出やすいと異常な宣伝の仕方をしている方が見受けられますが欧米輸入より多少高いだけであってROIで100%超えるような商品は稀なので気をつけましょう。

仕入れた商品を全て売り切るには欧米輸入、中国輸入共に初回の仕入れでは1.5ヶ月分、2回目以降であれば欧米輸入2~3ヶ月分、中国輸入3~4ヶ月分を目安に仕入れることになります。

追加の仕入れは1.5ヶ月前を目安に発注を開始します。

ここで一旦数字をまとめます。

 欧米輸入中国輸入
原価率55
30
粗利益率4570
システム連動比率(Amazon手数料・FBA手数料など)1515
販促費率(Amazon広告)520
ABC比率(商品ごとの人件費)55
営業利益率2030
ROI2543

これらの値を参考にスプレッドシートやExcelでシミュレーションをしてください。

欧米輸入では1.5ヶ月かけて商品を売りきるものとして計算していきます。1ヶ月の予想販売数を出してバッファを持たせて1.5ヶ月で売り切るイメージです。

中国輸入の場合はMOQが多くなるため計算簡略化のために仕入れた商品は2週間ごとに1/6ずつ売れて3ヶ月かけて売り切るものとして計算します。

図.シミュレーション例

欧米輸入と同じように計算した結果資金300万円で始めた場合年間の売上は4885万円、営業利益は1465万円ほどになりました。

どちらの場合も融資を受けるなどでレバレッジを利かせないと思ったより伸びないことが分かるかと思います。

参考までに融資を受けて資金1500万円で行った場合でもシミュレーションを行いました。この場合一人で進めるのは難しいため3人雇って事務所を借りる形で計算しています。(固定費100万円)

そうすると欧米輸入では売上1億400万円、営業利益2520万円、中国輸入では売上1億8750万円、営業利益4425万円となります。本来はここから事前に決めた役員報酬を引いた値が営業利益となります。こちらも実際の推移と近くなっています。ただ前提として3人従業員を雇っているので従業員を増やし教育するまでの時間等を考慮すると時間は2~3倍かかります。

こちらも表にまとめました。

資金欧米輸入中国輸入備考
100万円売上:825万円
利益:250万円
売上:1630万円
利益:490万円
融資や補助金、本業から追加出資などがないと厳しい
300万円売上:2470万円
利益:740万円
売上:4880万円
利益:1465万円
資金300万円までは従業員0、事務所なしで計算
800万円売上:5420万円
利益:1265万円
売上:1億190万円
利益:3057万円
欧米輸入で固定費30万円、中国輸入で固定費50万円を想定
1500万円売上:1億400万円
利益:2520万円
売上:1億8750万円
利益:4425万円
欧米輸入で固定費50万円、中国輸入で固定費100万円を想定

数多くの企業に対してコンサルティングを行わせていただいてきましたが実際の平均の値に近くなっています。

中国輸入の場合は最初に売上が立ちづらかったり広告費が先行するので最初はシミュレーション通り行きづらいので売り出し時限定で販促費を10%以上上乗せして30%や40%を目安にした方がより緻密な計算は出来ますので細かく計算したい場合はそのようにしてください。

仕入れは1.5ヶ月に1回か2ヶ月に一回行うのが標準的ですが最低ロットが多い商品を仕入れる場合は6ヶ月分持つようなケースも出てくるので臨機応変に対応して下さい。ここでは1.5ヶ月に一回仕入れる想定で計算しています。

計画の時点でここまで出来ていれば融資も受けやすいので大変かもしれませんが必ずやるようにして下さい。

また確信を持って仕入れることが出来るようになるまでには半年程度はかかり、それまでは資金の1/3ではなく1/5程度で進めても問題ありません。

ただし上記のシミュレーションはノウハウを身につけた人が取り組んだ場合の数字ですのでそれを考慮しないでいきなり資金が増やせるというのは甘い考えなので注意しましょう。経験者が取り組んだ場合はおよそシミュレーション通りになります。

具体的には欧米輸入未経験者の場合は学習期間として3~6ヶ月程度を計画に入れて下さい。3ヶ月経過時点で完璧になる訳ではありませんがそもそも何年経っても完璧になることはありません。中国輸入の方が利益を増やしやすいですがその分難易度が高くこちらは一通りの知識を体得するまで6ヶ月~1年程度は勉強でかかります。

1年というと長く感じるかもしれませんが他の業界で年間1000万円以上稼ごうと思うと最低でも3年はかかるので投資効率はかなり高いと思います。

同時に宣伝文句として初月から100万円~稼げると言って煽っているサービスにはお気をつけください。シミュレーションでご覧いただいた通り資金が影響するので初心者でも1500万円持っていれば初月から月利100万円超えは不可能ではありませんがプロでも資金100万円で初月から100万円稼ぐことは不可能です。一部を切り取った過剰な演出を行うコンサルタントはサービスの質が低いことが多く結果を出せない人も増えているようですが輸入ビジネスは本来正しいやり方でPDCAサイクルを回していれば誰であっても結果を出せる堅実なビジネスです。

またコンテンツの中身を完全に理解してから進めようとするのは間違った学習法です。学習の方法としてもインプット:アウトプット=3:7にするのが最も効率の良い方法として知られています。

「ビジネスは走りながら考える」という言葉があるように実践しつつ学んでください。コンテンツを全て読み込んでから行動する人よりも行動しつつ分からない部分が出たらコンテンツを読んだり質問をする人の方が成長が早いです。

未経験で1500万円程度の資金で始めて1年で数千万円の利益を達成した事例も存在しますが、専業で起きている時間全てビジネスに捧げているような方だったり、最初から仲間を集めて起業できているような方だったり特殊な事例になります。そもそもスタートラインで1500万円持っている時点で例外と言えるでしょう。
また学習時間の部分でも説明したようにコンサルを受けてすぐに仕入れることが出来る人はそこまで多くありません。未経験者であれば初月から仕入れることが出来るのは3~5割程度です。

通常はトライ&エラーを重ねて途中で融資を受けることにより資金を増やしそこから一気に売上・利益を増やす形になりますのでその辺りも含めて無理のない計画を立てて下さい。

資金調達に関しては在庫管理・需要予測・資金調達の実践方法全集に詳しくまとめていますが目標を早く達成するためにレバレッジを効かせるには

  1. 融資や補助金を活用する
  2. クレジットカードの枠を活用する
  3. クラウドファンディングを活用する
  4. 無在庫販売をする

などの方法があります。

ただしクラウドファンディングは一見簡単そうですが実践者が増え広告等の集客施策を使わないと資金がほとんど集まらないケースが相当増えています。よほど独自性がある商品であれば別ですがそもそも資金が足りないという理由でクラウドファンディングを行っている場合集客にはお金をかけられず失敗してしまうので弊社では推奨していません。

またAmazonを軸とした場合は無在庫販売は安定性に欠けるためビジネスとして取り組む場合リスクを回避するため複数アカウントでの運用を行う必要がありこちらも先行投資としての費用が嵩むため推奨していません。

そのため融資・補助金かクレジットカード枠を活用することになりますが欧米輸入、中国輸入問わずカードでの支払いを受けてくれる企業はあまり多くないため融資や補助金を活用するのが最も有力な選択となります。

その場合なるべく決済日が遅いカードを使った方がレバレッジを効かせることは可能ですが現在確認出来ている中で最も締め日と支払日の期間が長いカードで枠が多いのはJR東日本の子会社が発行している

  • ビューゴールドプラスカード 80~200万円
  • JALカードSuica CLUB-Aゴールドカード 80~300万円

となります。末締めで翌々月4日払いです。

しかし200万円、300万円という限度は物販ビジネスの仕入れに使おうと思うといずれ超えてしまうので限度額を伸ばしやすいAmerican Express系のカードと併用することをおすすめします。

個人ではSPGアメリカンエキスプレスカード、法人ではセゾンプラチナアメリカンエキスプレスカードかプロパーのアメリカンエキスプレスカードがおすすめです。

弊社ではあくまで欧米輸入であれば卸・メーカー仕入れを中国輸入であればOEM仕入れを扱っているためレバレッジをかけて資金を増やす方法としては融資・補助金の活用を推していますが欧米輸入の小売り仕入れ(ebayや海外Amazon)で資金を増やしたいという質問があったため記させていただいています。

これでようやくPLAN(計画)の下準備が終わりました。後はコンテンツを順に読み込み自分なりの具体的な行動計画を立てていきましょう。

その際全ビジネスに応用できる計画の立て方(心理学的アプローチ)が参考になるかと思います。

また最新情報をチェックしたい場合はコンテンツ下部のFeedlyやRSSで更新通知を受ける様にしておくことをおすすめします。

DO(実行)・CHECK(評価)

計画を立てたら実際にそれに従い行動します。

その際事前に評価出来る仕組みを用意しておき、成果が見えるようにしておくことが重要です。

例えばアマトピアの売上管理機能を用い実際の販売状況をチェックしたり広告運用機能でキーワード毎の効果測定をするなどが評価の部分に当たります。

また弊社では社員のマネジメントにTogglという無料で使用できるツールを活用していますが、独学で評価の仕組みを作りたい場合にもTogglのような時間測定アプリが有効です。

しかし記録をすれば努力量は確保できますがそれだけでは努力した気になって間違った方向に進んでしまう可能性があります。

努力は裏切らないという言葉がありますが方向を間違えると簡単に裏切ります。

例えばプロ野球選手になりたいとし野球部にも入らず毎日1000回素振りだけしていたとしたらプロになれるでしょうか?

間違いなくなれないでしょう。しかし1000回の素振りは大変です。これ自体は間違いなく努力と言うことが出来ます。

極端な例に思えるかもしれませんが貿易ビジネスでも無駄な努力や間違った努力をしてしまっている方が大勢います。

今は無料でも何となく実践できるような情報が世の中に溢れているのでその情報だけで進めようとしてしまいがちですが独学だけだと簡単に間違った方向に進んでしまいます。独学でも5%程度の人はうまくいきますがそれでも遠回りしてしまうでしょう。

特に現代は時代のスピードが早いので独学で時間をかけてトライ&エラーを繰り返していても問題が解決する頃には新しいことを学ばなければならずに変化についていけないことが増えています。

そこで必要なのがCheck(評価)です。鏡を見てバッティングフォームをチェックして自分で気づき直せる方は独学でコンテンツをどんどん読み進めて実践するだけでも問題ありません。元々独学でも進めやすいようにコンテンツ化しています。

今まで見てきた人の中で独学で成功しやすいタイプには共通点があります。
難関大学合格や難関資格取得などを独学でクリアしている人やトレーナーなしで筋トレを行い肉体改造に成功している人などです。つまりすでに独学での成功体験を得ている人はコンテンツを自分のペースでどんどん進めて問題ありませんがそうでない人は1ヶ月に2コンテンツ以上進めないでください。確実に消化不良を起こします。

しかし定期的に分からない部分を質問することで始めてコンサルティングは完成します。

つまりここでのCheck(評価)はコンサルティング受講者に月1で提供するZoomミーティングでの質問になります。何かうまく行かないと思ったらミーティングの時間に必ず相談して下さい。もちろん自力で解決出来るに越したことはありませんが特に初心者の方で相談しない人は気づかないうちに間違った方向に進んでいることが頻繁に起こってしまいます。

ACT(改善)

ActではCheckの部分で浮き彫りになった問題部分を優先順位を付けて修正していきます。解決方法が分からない場合にはZoomミーティングで質問してください。

この際Check(評価)が出来ていないとAct(改善)を行うことも出来ません。例えば漠然とAmazon広告の運用が上手くいっていない、という悩みだけでは改善することが出来ないので前段階であるCheckの部分でAcosが高すぎるのか、インプレッション数が少ないのか、ユニットセッション率が低いのかなど把握出来るようにしていきます。もちろん最初からは出来なくても問題ありません。

また改善するべき課題は通常複数存在します。

この辺りは全ビジネスに応用できる計画の立て方(心理学的アプローチ)Amazon輸入に関する仕組み化・外注化・組織化の方法のマネジメントの話で詳しく解説していますがガントチャートを活用してチームで解決していくのがおすすめです。

貿易ビジネスコンサルティングの効果的な受け方まとめ

  • 独学は遠回りになりやすいので注意
  • PDCAサイクルの各工程を意識して進める
  • 使える資金によるシミュレーションを必ず行う
  • C→Aの部分が最も重要なので分からない部分をほったらかしにしない

本記事にまとめたことは貿易ビジネス以外のどんなビジネスに取り組むとしても応用できる内容ですのでぜひ取り入れてみてください。

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